若手歯科医師の家族で留学奮闘記

一般歯科医師が,卒後8年目から家族でのアメリカ留学を目指すブログです.

メンターの重要性

今日はメンターについてです.

 

みなさん,メンターってご存知ですか?

 

mentor/méntɔɚ‐tɔː/

 

英語学習者っぽく綴りと発音記号を書いてみましたが,

要するに良き指導者,教師,師匠,という意味です.

 

みなさんにとってメンターはいますか?

はっきりとこの人が自分にとってのメンターだ,という人が思い浮かびますか?

 

幸いなことに自分には強烈なメンターがいます.

学生時代の指導医の先生なのですが,いまの自分の歯科医師の形,臨床に対する姿勢はそのメンターの先生なくしては語れません.

その先生は別に海外留学をしていたとかいうわけではないのですが,エンドに興味を持ちその道に進みたいと思ったのもその先生の影響が大きいと言えます.

 

ではなにが他の先生とちがったのか?

ちょっと考える機会があったのでその時に考えたことを記してみます.

 

大学病院にはたくさんの先生(ドクター)がいます.

歯科にもいろんな診療科があり,一つの診療科のなかにもたくさんの先生がいて,広い診療室に何台も診療台が並んでいて(もしくは診療室がたくさんあって)多くの先生が毎日診療しています.

学生時代,5年生になると病院実習があり,いろいろな科を回るのですが,エンドを回った時に師事した先生がのちに僕のメンターとなりました.

 

他にもたくさん先生がいるのに,なぜその先生だったのか?

 

医療は自然科学です.世界中の研究者が何百年もかけて研究してきたことがエビデンス(科学的根拠)として蓄積され,できる限りそのエビデンスに基づいて治療が行われるべきです.そしてそのためにはエビデンスとなる論文を読まなければなりません.

そうすることで少しでも高い予知性をもって少しでも良い治療結果を期待することが可能になります.

(実際には science and art と呼ばれ,art の部分もあるため,すべてがすべてエビデンスだけで対処できるわけではありませんが.)

 

しかし言うは易し行うはなんとやらで,すべてのドクターがあらゆるエビデンスに精通しているかというとそんなことはありません.

 

とくに開業歯科医はあらゆる分野の治療をしないといけないので,それらすべての範囲のエビデンスを高いレベルで学ぶことは至難の技です(もちろん中にはそのような高尚な先生もいますが).

結果,経験則や「なんとなく」,誰それがこう言っていたから,などの非常に危うい行動原理で治療が行われることも少なくありません.まぁそれで問題が起きないことも多いのですが...

 

ただ,大学病院では診療科が分かれているため,その科の先生は基本的にその科の治療しかしません.であれば,その分野のエビデンスには開業医以上に精通するべきであるし,そこを重要視するべきです.(いわゆる「(本当の意味での)専門医」,というやつですね.)

 

で,僕が学生時代に,ひいては今までに学んだ多くの先生たちのなかで,先述のメンターの先生がもっともその姿勢が強く,一つ一つの治療内容,手技にいちいち裏付けとなるエビデンスがあり,明らかに他の先生とは異なっていました.

一言で言うなら,歯科医師としての軸がはっきりと自分の中に確立している先生でした.

 

そのうちに,自分も臨床をする以上はこうありたい,根拠を持って治療をしたい,と思うようになりましたし,それが当たりまえだと考えるようになりました(本来それが当たり前なのですがそうでないケースも残念ながら多いのです).

その先生に直接ついて学べた期間はそれほど長くなかったのですが,いまでも連絡はとりあっており,臨床で困った時には相談させてもらうなど,非常にお世話になっています.

 

三つ子の魂百まで,といいますが,実際に学生時代,つまりもう10年前に指導してもらった先生からの影響をいまだに受け続けていることを自分でも感じています.

 

僕はこの出会いが自分の歯科医師としての姿勢,ひいては歯科医師人生を左右するものであったと思っており,自分は本当に恵まれているのだと感じています.

と同時に,人生におけるメンターの重要性を改めて痛感しています.

 

ここまで強烈なインパクトを与える出会いでなくても,気づけば影響を受けていた人や,ああなりたい,こんな人みたいなことができるようになりたい,と思うひとがいれば,その人は自分にとってのメンターになりうるのではないかと思います.

また僕がそうであったように,後から気づけばこの人がメンターだったのだ,ということもあるでしょう.

そしてメンターは時に人生の羅針盤になるかもしれません.

 

みなさんに,メンターはいますか?

 

 

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