若手歯科医師の家族で留学奮闘記

一般歯科医師が,卒後8年目から家族でのアメリカ留学を目指すブログです.

なぜ歯内療法科なのか?なぜ留学したいのか?

こんにちは,syuです.

 

今日も歯科関係者以外の人には面白くないかもしれませんが,僕がなぜ歯内療法科を選んだのか,ということについて.

 

 

 

歯内療法は英語ではEndodonticsといい,よく「エンド」と言われます.

 

エンドとは

 エンドは歯の神経の治療,根の治療と言われる分野です.

歯は外側からエナメル質,象牙質とありその中に歯髄が入っています.

歯髄は神経と血管からなり,ここが歯の痛みを感じます.

 

歯髄が不可逆的な,つまりもうもとに戻ることができないくらい炎症を起こしてしまった場合,歯髄を取る必要が出てくることがあります.いわゆる「神経をとる」治療です.

また,神経が死んでしまった,あるいは神経をとる治療をした後に,根の先に炎症が生じた場合にも根の治療が必要になります.

 

エンドではそのような歯髄の感染,炎症を未然に防ぐ,あるいは治療することを目的としています.

 

なぜエンド?

たくさんある診療科の中でなぜエンドなのか.

エンドは痛みをマネージメントする科です.

 

エンドの治療は一般的な歯科医院でどこでもされていますが,実はエンドは相当難易度の高い治療で,必ずしも多くの歯科医院で十分な治療がなされていないのが実情です.

 

海外ではエンドの専門医がいて難しい症例は専門医へ紹介するのが一般的です.

しかし日本では海外のような専門医制度が確立されておらず(一応日本歯内療法学会専門医という制度はありますが海外のように知識や技術を体系的に学び習得した人が与えられているとは限りません),そのため一般歯科医院があらゆる症例を手がけざるをえないのです.

 

これは時として術者と患者双方にとって不幸な結果を生んでしまいます.一本の歯の神経の治療で何ヶ月も通い続けそれでも一向によくならず,患者と歯科医師の信頼関係にはヒビが入り,挙句の果てにその歯は抜歯を宣告されてしまう...そのようなことが実は少なくないのです.

 

このように非常に多くの人がエンドの問題を抱えている現実を目の当たりにして,なんとかしたいという思いを強く抱き,エンドの治療が本当の意味でしっかりとできる歯科医師になりたいと思い,エンドを志すに至ったのでした.

 

 

なぜ留学??

では,なぜ留学しようと思ったのか.

 

すでに書いたように,日本では海外のような専門医制度が確立していません.

日本の大学院は研究がメインであり,専門医取得とは基本的に関係ありません.また日本の専門医は症例提示や筆記試験はありますが,技術養成の教育過程はありません.

そのため,もちろん技術的に優れた専門医はたくさんいますが必ずしもそうでない場合も多く存在するのです.

 

一方,海外の大学院は専門医養成のためのコースになっています.海外のエンドの大学院ではエンドに関する論文を膨大に読んで知識と哲学を身につけ,実際に診療を行い治療技術を磨いて専門医取得を目指します.

 

そのため海外の専門医はあきらかにGP(一般の歯科医)よりもその分野に長けており,あらゆる治療方法に精通しているため,GPは自分の手に負えない症例は専門医に紹介するのが当然なのです.

 

そうすることで患者はむやみやたらに治療期間だけ延びていつまでも終わらないような根の治療を受けるということもなく,また術者も自分のキャパシティーを超えた症例を抱え込むことがないという,お互いに幸せな結果につながるのです.

 

日本ではエンドに困っている患者や歯科医師が数え切れないほどいます.そして不幸にして適切な治療を(知識や技術の習得が困難で)行うことができず,抜歯になってしまう症例をたくさん目にします.

 

日本には(少なくともエンドに関して)適切な卒後教育制度がなく,海外のように専門医たる知識技術を習得する場がほとんどありません.

そのため,エンドがきっちりとできるようになるため,海外で専門医を取得しようと志すに至ったのでした.

 

 

とても冗長なブログになってしまいましたが,以上がエンドを選んで留学を考えた経緯です.

お付き合いいただき,ありがとうございました.

では,また.