若手歯科医師の家族で留学奮闘記

一般歯科医師が,卒後8年目から家族でのアメリカ留学を目指すブログです.

【2/24】良い歯医者の見分け方?【ジョブチューン】

どうも,syuです.

前回の記事の後,インフルエンザの発熱がもう一度ありふたたびダウンしてました.

やっと回復したので久しぶりに記事を書きたいと思います.

 

昨日,TBS系の「ジョブチューン〜アノ職業のヒミツぶっちゃけます!」という番組で口の中の健康について取り扱っていました.

 

歯科医師の先生たちが数人出られて,口臭や誤嚥性肺炎など幾つかのトピックについて解説されていました.

 

「本当に良い歯医者の見分け方は?」

その番組の最後のあたりで,「本当に良い歯医者の見分け方は?」というトピックで話がされていました.

 

その中で,パネラーの方々が思う良い歯医者を幾つか挙げられていて,思ったことを少し.

 

「一回で治療してくれる歯医者」?

バナナマン日村さんは「一回で全部治療してくれる歯医者」とおっしゃっていました.

う〜ん,基本的に歯科疾患は慢性疾患で,その状態になるまでに長い期間がかかっています.それを治すときは一回でしてくれっていうのは,すこし虫が良すぎるかな〜,と,歯科医師側としては思います.

 

それは技術的,時間的に大変というわけではなく,(もちろん内容によって可能なものはありますが)治療には時間がかかるものがあるので回数,期間をかけざるをえないということです.

たとえば歯茎の状態が改善するためにはプラークコントロール(簡単に言うと歯磨き)の状態が改善してその状態が持続する必要があります.その場でプラーク歯垢)を落としてもその瞬間に歯茎の炎症が治るわけではありません.

 

なので,回数と期間は口腔内の状態と治療内容によるので必要な治療と理解していただきたいですね.

 

歯医者の数はコンビニより多い?

またよく言われることですがいつも思うのがこれ.

歯科医院の数は約6万9000で,コンビニの5万5000よりも多いという比較.

 

ここ10年くらい?もっと前からかな?いろいろな雑誌でも歯科バッシングに熱を挙げておられ,その中でよく出てくるのがこの話なのですが,実はこの比較自体に全く意味がありません.

というのも,実はいまだかつて歯科医院の数よりもコンビニの数の方が多かったことなどないからです.

 

さらに東京都心と地方の田舎だと人口当たりの歯科医院の数は全く違い,歯科医院が足りていないところはたくさんあります.

なので,この数字にあまり拘る意味は,ないんですね〜.

TVのように影響力のあるメディアがこういう数字をさも歯科医院が多すぎて変な医院も多い,みたいな風潮で報じるのは,残念です.

 

 

では,番組が現役歯科医師102人に聞いてまとめた結果を見ていきましょう.

実はこれらも突っ込みどころが...

一言ずつ現役歯科医師syuが思うつっこみコメントを添えたいと思います.

 

第3位 治療前に歯科衛生士が歯をきれいにしてくれる

汚い口の中で治療をしても削ったところに菌が入るから治療前に歯科衛生士が歯を綺麗にしてくれるところが良い歯医者,という意見.

 

この考え方自体は良いと思うのですが,本来ならまず治療に入る前に口腔衛生指導の期間が一定期間あり,その間は(応急処置以外)治療は行われず,自身による口腔清掃(つまり歯磨き)が十分にできる状態を作る必要があります.そうすると治療前に少なくとも「汚い」口の中ではなくなります.その上で治療部位の清掃は,もちろん重要ですが.

この「治療に入る前に衛生指導の期間が必要」ということについては,本来あるべき姿ですが残念ながら日本の歯科医院で真に実行されているところは極めて少ないです.保険制度の関係もあり.

これについては後日,予防で世界的に有名な山形県の熊谷崇先生の勉強会に参加させていただいたときの内容に含めてまとめたいと思います.

 

第2位 こまめに歯の写真を撮影してくれる

これは概ね同意ですね.

僕も口腔内写真は撮影します.

ただ保険診療メインだと,すべての治療で行うかというとなかなか難しいこともあると思います.それは保険診療では処置内容によって診療報酬が決まっており,そのなかに写真は含まれない,つまり何枚術前術中術後の写真を撮ろうが収入にはならないからです.

一方で写真自体は現在はデジタル化されているのでフィルム代はかからないとしても,時間は当然必要です.一回一回はそんなに時間がかからなくても,本当に保険がほとんどでバタバタ診療を回しているような医院だとその積みかさなりが意外と効いてくることもあります.

そのため説明のために使用できるというのは確かにありますが,それ以上の意味でいうと,珍しい症例とか,自費症例とか,そういうのに限られてしまっても致し方ない場合もあろうかと思います.

こだわっている先生はすべて撮っている先生もいらっしゃいます.

大学とかだと時間を気にせずある程度できるのですべての写真を取ることは可能ですね.

 

第1位 初診に時間をかけてくれる

初診時に30分以上時間をかけてくれるというものでした.

これが一番びっくりしました.

逆に30分未満しか時間を取らずに何ができるのか聞きたいですが...

ぱっと見て穴が空いている→削って詰める→終了

であれば可能でしょうが,はたしてそこに診断はあるのか.

原因を考えずにそのときある症状,状況に対応するだけでは治療とはいえません.

なぜなら原因がなくなっていなければ間違いなく同じことがまた起きるから.

なので,第3位の時にも書いたように,口腔内の清掃が自分できちんとできるようになっていない状態で虫歯の治療をしてもいずれ同じことになるので意味がないのです.

 

 

総じて,今回の番組でまとめた3位から1位は普通のことでした.番組内の先生もおっしゃっていましたが.

 

じゃあ,syuの思う本当に良い歯医者は?

本当に良い歯医者,という意味では,先述した山形県の熊谷崇先生(日吉歯科診療所)のように本当に予防を考えた治療を行っている歯医者だと思います.

これについては改めて詳しく書きたいと思います.

 

が,残念ながら日本中どこにでもそのような先生がいるかと聞かれると,ほとんどいません,と言わざるをえません.

僕もGP(一般歯科医)として開業するなら熊谷先生のような世界に通用する治療,予防ができる歯科医師になりたいです.

 

では,結論として,患者さんがぱっと良い歯医者を見分けられるかというと,これは実際にはかなり難しいと思います.というか不可能なのでは?

同業者でも難しいです.HPでは良いことを書いていても実際に中身が伴っていないところもありますし(他業種でもあることでしょうが),行ってみないとわからない,というのが本当のところかと思います.

 

この辺が,もう少しわかりやすくなると良いですね.そして,理想的にはどこに行っても一定水準以上の,世界から見て恥ずかしくない歯科医療が受けられるようになると,良いですね.

 

長くなりましたが,今日はこのへんで.

では,また.

 

 

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